『ゲリラクエスト☆
AI相性診断』
- このSSはゲーム本編とは時間軸の異なるIFストーリーです。
――仮想世界内 プレイルームにて
- 永守 藍
- 「――で、ユーリさん。これ、なんの集まりなんですか」
- 宗像 戒
- 「夜になったらプレイルームに集合って話だったけど……」
- ユーリ
- 「そりゃもちろん、親睦会だよ。まだ第1ステージは続くし、ゲームの合間に参加者同士で交流を深めようってこと。題して『藍ちゃんと戒ちゃんがレアすぎて全然話す機会ないから無理やり集めました』の会ね」
- 永守 藍
- 「なるほど。じゃあ俺、帰っていいですか」
- ユーリ
- 「聞いてた!? ホントに戒ちゃんが絡むとツンになるなあ」
- 弥坂奏壱
- 「あ、せっかくなら何か飲みましょうか。おふたりは何にします?」
- 永守 藍
- 「俺は酒飲めないんで……ってか、参加後すぐ行方不明になってた俺はともかく、なんでこいつまでレアなわけ……?」
- 宗像 戒
- 「え。基本部屋にいたせいかな。他の参加者と深く関わるつもりもなかったし……」
- 永守 藍
- 「奇遇だな、俺もおまえとはイチミリも関わりたくない。ってことでユーリさん弥坂さん、悪いですけど――」
- ???
- 「――ちょぉっっと待ったあ! です!!!」
- 全員
- 「!?」
- ユーリ
- 「びっ……くりしたあ。え、この子、奏ちゃん担当の見習い天使だよね?」
- 瑪瑙
- 「はいっ! 瑪瑙と申します。ふっふっ……ユーリサマ、素晴らしいことを仰いましたね。じつは瑪瑙も足りないと思っていたのですよ、参加者同士の交流が! ――ということで、今回はこのようなゲリラクエストをご用意いたしました!」
- 永守 藍
- 「? ターミナルに通知……『ゲリラクエスト発生』?」
- 瑪瑙
- 「メインステージとは無関係のゲームでして、参加するかどうかは皆様の自由です。今回のクエスト内容はズバリ『相性診断』――特定の人物とあなたの相性をAIが診断いたします! さらに、親密度MAXまで仲良くなった場合の『もしもの会話』も映像シミュレーションしちゃいますよ~」
- 弥坂奏壱
- 「面白そうですね。お互いのことをまだなにも知りませんし、親睦を深めるネタになりそうです」
- 宗像 戒
- 「……俺は――」
- ユーリ
- 「じゃ、この4人参加決定ってことで~」
- 永守 藍
- 「拒否権ないじゃん……まあ暇してたし、べつにいいですけど」
- 瑪瑙
- 「ちなみに、今回のターゲットは『涼乃環無』サマです! 彼女と皆様の相性が果たしてどんな結果になるか、お楽しみください~!」
- 永守 藍
- 「は?」
- 宗像 戒
- 「えっ? 環無は運営だけど――って、もういない」
- 弥坂奏壱
- 「参加者同士の交流という目的はどこへ……?」
- ユーリ
- 「お、モニターが出てきたね。最初は……藍ちゃんみたいだよ」
《永守 藍 相性度:80%》
- 会話シミュレーション
場所:現実世界、涼乃環無の部屋
- 涼乃環無
- 『え、やば。もう12時過ぎてる。ねえ藍、起きて』
- 永守 藍
- 『んー……うわ、マジだ。てかおまえ、寝癖すごい』
- 涼乃環無
- 『藍もおでこに芸術的な寝跡ついてる。ふたりして寝落ちしたの久々だね』
- 永守 藍
- 『落ちたのおまえが先だったけど。寝顔眺めてたら俺もいつの間にか寝てた』
- 涼乃環無
- 『ごはん食べて仕事再開しよっか。なに食べたい?』
- 永守 藍
- 「……ただの日常会話じゃん」
- 弥坂奏壱
- 「本人に違和感がないなら、再現度が高いということでしょうか」
- ユーリ
- 「相性80%ってすごくない? 戒ちゃん、どう思う?」
- 宗像 戒
- 「俺に振られても……あ、映像が変わったよ。次は――」
《宗像 戒 相性度:20%》
- 会話シミュレーション
場所:現実世界、どこかの街角
- 涼乃環無
- 『あ……っ、戒くん。偶然……だね』
- 宗像 戒
- 『……なに。俺、急いでるんだけど』
- 涼乃環無
- 『元気そうでよかった。何度家に行っても出てくれないから……』
- 宗像 戒
- 『……迷惑だから、そういうの。二度と声かけないでくれる?』
- 涼乃環無
- 『っ、そんな……お願い、傍にいさせて……!』
- 永守 藍
- 「…………おまえ、最低だな」
- 宗像 戒
- 「違うからね!? なんで……さっきの精度の高さはどこいったの!? 俺も環無もまるっきり別人なんだけど……!?」
- ユーリ
- 「あ、そうなんだ。よかった~。戒ちゃんの意外な一面を見てしまったかと……」
- 宗像 戒
- 「環無にだけは、絶っ対にああいう態度とらないよ」
- 弥坂奏壱
- 「つまり、他の方ならありえると……おや、モニターに何か出ていますね」
- 永守 藍
- 「『これは本編中の会話ではありません。あくまでAIシミュレーションです』……ふーん。じゃ、AIの解像度が低かったってこと? 次は……ユーリさんみたいですよ」
《ユーリ 相性度:60%》
- 会話シミュレーション
場所:現実世界、古びたアパートの一室
- ユーリ
- 『っ……、ぐすっ』
- 涼乃環無
- 『ユーリさん……泣きやんでください。ほら、飴ちゃんあげますから』
- ユーリ
- 『やだ! だってぇ……きゃぴーくんの限定SSR欲しいのに、天井届かないんだもん!』
- 涼乃環無
- 『わかりました。お金、これで足りますか?』
- ユーリ
- 『わぁ……ありがとう! 大好きだよ環無ちゃ――
- 宗像 戒
- 「あ、モニター消えた」
- ユーリ
- 「…………きッッ、キモッッッ……!?!? だもんとか、泣き真似とかキッッツ……てかヒモ!? 環無ちゃんあのクズ男、今すぐ捨てたほうがいいよ!?」
- 弥坂奏壱
- 「もはや未来予測ではなく根本から間違ってませんか……? 多方面に誤解を与える気がするんですが」
- 永守 藍
- 「お、モニターが復活して――うわっ、なんだこの爆音……っ!?」
《弥坂奏壱 相性度:99%》
- 会話シミュレーション
場所:深夜の高速道路
(大型バイクのマフラー音)
- 弥坂奏壱
- 『フゥゥウウウーーー!!! おまえが見たことない景色、俺が見せてやるぜ! 振り落とされないよう、ちゃんと俺に掴まってろよ環無ぁ!!』
- 弥坂奏壱
- 「誰!?!?!?」
- 永守 藍
- 「弥坂さん、意外とヤンチャなとこあるんですね」
- 弥坂奏壱
- 「悪ノリするのやめてくれません!? やっぱりおかしいですよ、この診断……っ!?」
- 瑪瑙
- 「――皆様、申し訳ありません! エラーが発生いたしました。今回のために導入した『少女漫画の文脈最適化プログラム』が、過剰適用されてしまったようです」
- 宗像 戒
- 「……おかしいと思った。なんでそんなもの取り入れたの?」
- 瑪瑙
- 「相性診断には胸キュンなシチュエーションが不可欠ですから!」
- 弥坂奏壱
- 「あの爆走バイク男に胸キュンします? 絶対に法定速度守ってませんよ」
- 瑪瑙
- 「相性度の数値もバグってしまったみたいで……うう、瑪瑙の力不足です。皆様、貴重なフィードバックありがとうございました。クエストに参加された方には、瑪瑙特製ドリアン抹茶ラテをプレゼントしますねっ」
- ユーリ
- 「……えーと、まさかこれが今回のクリア報酬……?」
- 瑪瑙
- 「はいっ! ぜひ味わってください!」
- 永守 藍
- 「…………はあ、やっぱ部屋戻ろ」
――仮想世界内 オペレーションルーム
- 涼乃環無
- 「――雅火! オペレータールームで見てたんだけど、さっきのゲリラクエストなんだったの!? 人のこと勝手に使って……」
- 雅火
- 「なんだも何も、ランダムで涼乃のニューラルデータが選出されただけだ。だが……運営であるあんたを診断対象に入れたのは瑪瑙のミスだな。シミュレーションにもかなり偏った学習が反映されていた。主な原因は――」
- 涼乃環無
- 「そうじゃなくて……あんな風に人をおもちゃみたいにして、勝手にシミュレーションすること自体どうかと思う。せめて本人に許可を取るなりしてよ」
- 雅火
- 「『みたい』じゃなく、玩具なのは事実だろ。道具や素材とも言えるが……。この世界にいる間は、収集したデータをどう扱おうとこちらの勝手だ。断りを入れたところで非効率でしかない」
- 涼乃環無
- 「…………最っ低。私を運営にしたこと、絶対に後悔させるから」
- 雅火
- 「……わかりやすい捨て台詞だな。毎度ご丁寧に文句を言いに来て、飽きないのか」
- 雅火
- (後悔なんてするはずがない。たとえ不本意な結果になったとしても、それをもとに再び前に進むだけだ。――アンロジカルは終わらない)
- 雅火
- 「ひとまず今は……あいつのような未知数がなにを生み出すのか、魅せてもらおうか」
《雅火 相性度:???%》











